
日頃、身体がどことなく重だるかったり、疲れやすい。血圧を測れば高めで高血圧ぎみ。そんな方は、健康への意識は嫌でも高まってきますよね。
身体を動かすことで健康体に近づけることは事実だと思いますが、筋トレで身体を鍛えることは健康に良いのか?それとも悪いのか?一般的には両論あります。
筋トレが健康へ与える効果は、メニューや内容によって大きく変わり、ここがおさえられていると健康のプラスになると思います。
この記事では、
- 筋トレが健康に悪い理由
- 筋トレが健康に良い理由
- 女性に知ってほしい生理中の筋トレ効果
などについて、パーソナルトレーナー歴11年の僕が解説していきます。
今回の記事の内容
結論:筋トレのメニューや内容によって健康への効果は変わる
まず最初に結論から言えば、
実践する筋トレメニューや内容、やり方などによって健康への効果は大きく変わる
ということです。
例えば、「筋トレ」と聞くとどのようなイメージがわきますか?
- 筋肉を大きくするようなハードな内容
- 軽めのダンベルを使って気持ち良く体を動かす
それぞれによって違うと思いますが、筋肉を追い込むような筋トレを想像した方は、そのまま行ってしまうと健康に悪いかもしれません。
逆に、気持ち良く体を動かす程度の筋トレをイメージした方は、そのまま行えば健康に良い内容と言えると思います。
後程詳しく解説しますが、まず前提として、
筋トレ=健康に良い・悪いが決定されるのではなく、あくまでも中身によって効果は変化する
ということですね。
筋トレが健康に悪い理由
筋肉をハードに追い込むような筋トレを行った場合、健康に悪い影響が出ることがあります。その理由は以下の通りです。
- 大きなストレスが加わる
- 活性酸素が増加する
- 筋肉が硬くなって循環不良が起こる
- 血圧が上がる
それぞれ解説していきますね。
大きなストレスが加わる
筋肥大を起こすような筋トレを行うと、力を出し切る必要がありますし、そういった刺激が加わると非常に大きなストレスがかかります。
このストレスというのは、
- 肉体的
- 精神的
両面にかかりますが、ストレスそのものが健康にあまり良くないというのはよく知られていることだと思います。
ストレスが加わることで、体内では以下のような反応が起こっていると言われているんですね。
- 血管が細くなり血流が悪くなる
- 血流が悪くなると細胞に栄養や酸素を運びづらくなる
- 細胞の活性化が進まなくなり、細胞レベルで疲弊する
- 体温が低下して大幅に免疫力が低下する
- その結果、身体の不調や病気につながる
このように筋トレでハードに追い込みすぎると健康に悪い影響が出る可能性があります。
メンタルへの影響なども合わせて、上記のことをこちらの記事でより詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
活性酸素が増加する
さらに、ハードな筋トレをすることで活性酸素が増えるとも言われています。
活性酸素とは、
細胞を老化、疲弊させるもの
とイメージしてもらうとわかりやすいと思います。
先ほどお伝えしたことは、筋トレの刺激によって肉体的・精神的なストレスが増えることで起こる悪影響でした。
この活性酸素の問題はまた別で、ハードな筋トレによって体内で活性酸素が増えることで細胞の働きが悪くなります。
そもそも人間の身体は、
約32兆2000億個の細胞でできている
ので、細胞の働きが悪くなることで、以下のような不調や病気になる可能性があります。
- 肩こり、腰痛などの痛み
- 冷え性や低体温
- 身体のだるさ、倦怠感
- 乳がんや肺がんなど
- 高血圧
- 心筋梗塞や脳梗塞
- 糖尿病
- 肝硬変 など
これらは一部であり、その他にももっと起こる不調や病気があります。
このように、活性酸素の影響で細胞の活動レベルが下がってしまうことも、健康に悪い影響が出る大きな理由の1つですね。
ちなみに、この筋トレと活性酸素の関係を詳しく知りたい方は、以下の資料に詳しく載っているので参考にしてみてください。
≫運動と酸化ストレス―活性酸素と抗酸化防御のバランスの重要性―
筋肉が硬くなって循環不良が起こる
ハードな筋トレをする方の中には、クールダウンでストレッチングをしたり、筋肉をほぐさない方もいると思います。
そういう方は、仕事で筋肉を酷使するような内容であれば、より筋肉がガチガチに硬くなってしまう可能性があります。
筋肉が硬くなってしまうことで起こるのは、以下のような身体の変化。
- 筋肉が硬くなる
- 内側へ締め付ける圧が高まり、血管やリンパ管を締め付ける可能性
- そうすると、血管などの周径囲が細くなる
- 循環不良が起こり、細胞へ運べる栄養や酸素量が低下する
最終的には上記でお伝えしたような変化が起こる可能性があるというわけです。
一時的に血圧が上がる
また、高強度の筋トレを行うと、高い確率で息を止めながら行ってしまうと思います。
このタイミングで「努責(どせき)」といって、グッと力むことで一時的に血圧が急上昇する可能性があるんですね。
そうすると、元々高血圧の方はふらついてしまったり、最悪倒れてしまうこともあります。
このように、筋トレでハードに追い込みすぎると、健康に悪い影響が出る可能性があるということをお伝えしました。
続いては、逆に筋トレが健康に良い理由を解説しますね。
筋トレが健康に良い理由
筋トレが健康に良い影響を当たるためには、気持ち良く体を動かす程度の強度で行うことが重要になります。
細胞内の代謝が活性化
ここでいう「筋トレ」というのは、
身体を気持ち良く動かす程度の強度で行うトレーニングのこと
を指します。
例えば、その場でスクワットをするとしますよね。
こういった軽く動くようなスクワットなどを行った場合、筋肉は収縮-弛緩といって、いわゆる伸び縮みをしている状態になります。
このとき細胞内では、
- 筋肉が収縮=細胞内の老廃物や二酸化炭素を排出
- 筋肉が弛緩=細胞内へ酸素や栄養素を取り込む
という代謝が行われています。
この代謝が活発に行われるようになると、細胞内が活性化して、健康体に近づくことができます。
また、こういう形式でのトレーニングは筋肉が硬くなりづらく、血流も改善してきます。こういった筋トレのやり方であれば健康のプラスになると言えます。
筋肉の弾力を取り戻せる
また、こういった気持ち良く身体を動かすような筋トレを行った場合、硬くなっていた筋肉が弾力を取り戻し膨らみが出てきます。
ここでポイントになるのは、
筋肉に膨らみが出る=筋肉の断面積が増加=筋力が向上する
という反応が起こること。
つまり、気持ちよく筋トレを行っても筋力が向上し、結果的に、
- 立つこと
- 歩くこと
- 階段の上り下り
- 椅子からの立ち上がり
などの姿勢や動作が非常に楽にできるようになります。
高齢者の健康レベルが上がる
高齢者の方の場合、こういった反応が見られることで日常生活の活動レベルが向上すると考えられます。
高齢者の方が健康で過ごすために必要なことは、
日頃、どれだけ身体を動かして過ごせるか
ということが重要です。
筋トレで身体が動かしやすくなれば、その分日常での活動量が増える。そうすると、血流もよくなり細胞も活性化されます。
そうすると、高齢者の健康レベルも向上し、より元気に過ごすこともできるはずですね。
血圧が下がる
また、先ほど筋トレで努責を行うと血圧が上がるとお伝えしましたが、気持ち良く動くような筋トレを行うと血圧が下がる可能性があります。
トレーニングをすることで、新しい毛細血管が作られ、末梢の循環が良くなります。
また運動時には一時的に交感神経が優位になりますが、その反動で日頃は副交感神経が優位になることもわかっています。
その結果、
- 心臓の拍出力
- 心拍数
などが低下し、さらに循環が良くなります。そうすると安静時の血圧は下がる方向に向かうそうです。
これは研究からもわかっているため、筋トレをすることで血圧も下げられる可能性があります。
また、癌の死亡リスクが下がるという研究データもあるので、合わせてご紹介しますね。
筋トレで癌による死亡リスクは31%下がる
2017年10月に、疫病専門誌にてこのような研究結果が報告されました。
アメリカン・ジャーナル・オブ・エピデミオロジーにて
疫病専門誌・アメリカン・ジャーナル・オブ・エピデミオロジーで、
筋トレを行っている人は、行っていない人に比べると癌による死亡リスクは31%低かった
という研究結果を発表しています。
また、この発表以外にも他の研究機関でも同じような結果が出ているそうです。
筋トレを週2回以上する人は20%未満
ただ、こういう研究結果が出ている一方で海外のある国では、週2回以上筋トレを継続的に行っている人は、
全体の約19%にも満たない
という研究結果も出ているようです。
この2つをつなげると、筋トレが癌による死亡のリスクを下げる可能性はあるが、筋トレを習慣的に行っている人は5人に1人以下の割合しかいないということ。
このように、筋トレが健康に良いという研究データも多くあり、やり方を工夫することで健康のプラスに十分なります。
続いては、女性の生理中の筋トレについて解説します。
女性は生理中に筋トレをしても問題ない
女性の場合、生理中の筋トレをしても健康的に問題なのかなども気になると思いますが、身体のメカニズムから見れば生理中の筋トレは問題ありません。
ですが、人によっては生理中の体調は大幅に変わり、中には寝込んでしまう方もいますよね。
そういった場合は別ですが、特に体調面に問題がなく、筋トレができる状態であればむしろプラスに働く可能性があります。
生理中は筋肉がつきやすい可能性
生理中に筋トレをすると、筋肉がつきやすくなる可能性があるそうです。
その理由は、以下の通りです。
- 女性ホルモンは、生理の時期には分泌量が著しく下がる
- 女性ホルモン=脂肪をため込む、筋肉の成長を抑制する働きがある
- 女性ホルモンの分泌量が下がることで、生理中は筋肉がつきやすくなる可能性がある
このような理由から、生理中の筋トレは筋肉がつきやすくなる可能性があると言われているわけです。
欧米の女性アスリートはあえて生理中に筋トレすることも
欧米の女性アスリートの中には、あえて生理の時期を狙って激しいトレーニングをする方もいるそうです。
アスリートにとって筋肉をつけ、筋力を向上させることは重要です。ですが生理中は、
- 腰痛
- 腹痛
- 身体のだるさ
- しんどさ
などが感じやすく、気分の波も激しくなることから、万人におすすめはできません。
ただ、こういう考えをもとにトレーニングをしている人もいるということですね。
生理中などに筋トレを行うときの注意点
生理中に筋トレをする場合、その日の体調によって筋トレのメニューを変え、無理をしないということも大切です。
生理中は出血も多くなり、貧血気味になる方も多いですよね。
- 出血量が多い
- 貧血気味
- 身体に痛みがある
- むくみで身体がしんどい
こういう症状がひどいのあれば、筋トレ内容の調節が必要だと思います。
ただ先ほどもお伝えしたように、生理中の筋トレは基本的には健康への問題がないため、特に禁止する必要はないということです。
筋トレは健康に良い?悪い?メニューや内容によって変化する理由のまとめ
今回は、筋トレが健康に良いのか?それとも悪いのか?という視点で解説していきました。
今回の記事のまとめ
- 筋トレ内容によって健康に良い・悪いは変わる
- ハードに追い込む筋トレを行うことで、健康に悪い影響が出ることがある
- 一時的に血圧が上がったり、ストレス過多で体調を崩すこともある
- ただ、気持ち良く身体を動かすような筋トレは健康へ良い影響が多い
- 細胞が活性化し、元気に過ごせたり不調も出にくくなる
- 高齢者でも健康レベルが向上し、血圧も下がる可能性
- 女性は生理中であっても基本的には筋トレをしても良い
こういった内容をお伝えしていきました。
今回の内容が少しでも筋トレで健康になりたい方の参考になればうれしく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました!