
筋トレと有酸素運動をすれば脂肪燃焼効果が高まる。そう聞いて、実際にそれぞれに取り組もうと思ったとき、「どっちが先?」と迷いませんか?
実はこの問題、順番が逆になると効果がかなり下がってしまう可能性があり、必ずおさえておく必要があります。
特に筋トレで筋肉をつけたい方は、順番を間違うと筋トレ効果がほぼ0になってしまうかもしれません。
この記事では、
- 筋トレと有酸素運動はどっちが先?
- 順番が逆だとどのような変化が起こるのか
- 筋肉をつけたい方も有酸素性持久力を高めた方がいい理由
などをパーソナルトレーナー歴11年の僕が解説します。
どっちが先?筋トレと有酸素運動の順番を解説
結論からお伝えすると、以下の通りです。
必ず筋トレ→有酸素運動の順番にすること
順番とすれば、
- 筋トレ → 有酸素運動:◯
- 有酸素運動 → 筋トレ:✖
となります。
ただ順番が入れ替わるだけのように見えますが、この順番によって、
- 筋肉がつきづらくなる
- 脂肪が落ちづらい
などのマイナスの結果につながる可能性があるんですね。
せっかく頑張っても、効果が半減以下になる可能性もあるので注意が必要です。詳しい理由は、以下の通り。
筋トレ後に有酸素運動を行って得られる効果
例えば、「筋トレ → 有酸素運動」という順番で行った場合、体内では、
- 筋トレ後に成長ホルモン・アドレナリンが分泌される
- 成長ホルモン・アドレナリンは脂肪の分解を促す
- 血中の遊離脂肪酸が増える
- この状態で有酸素運動をすると、遊離脂肪酸をエネルギー源として使う
- 結果、脂肪が減りやすくなる
という反応が起こります。
つまり、
筋トレ後に有酸素運動をした方が脂肪を減らしやすい
ということがわかっているんですね。
有酸素運動のみをするときと比べると、筋トレ後に有酸素運動をしたときの方が、
脂肪の代謝が、約20%も上がる
ということもわかっています。
ですので、
- ダイエット中
- 脂肪を減らしてバキバキになりたい
- 引き締まった身体を手に入れたい
そういった目的で筋トレに励んでいる方は、筋トレ→有酸素運動という順番が勧められるというわけです。
有酸素運動→筋トレという順番だと効果が出にくい可能性
逆に、有酸素運動→筋トレという順番にした場合、体内では先ほどと別の反応が起こります。
- 有酸素運動をすると、アドレナリンが分泌
- 20分程経過した辺りで、遊離脂肪酸が増加
- 遊離脂肪酸は脳下垂体に作用し、成長ホルモンの分泌を抑える
- 成長ホルモンの分泌が抑えられることで、筋肉がつきづらくなる
つまり、
有酸素運動→筋トレという順で行うと、脂肪はある程度減らせるけども、筋肉がつきづらくなる
ということが起こります。もし、筋肉をつけたいという方であれば、有酸素運動→筋トレという順番はおすすめできないということになりますよね。
ここで筋トレ関連の知識がある方は気づくかもですが、「成長ホルモンは筋肥大にはあまり関係ないのでは?」と思うかもしれません。
実は、成長ホルモンと筋肥大は直接的な関係がないことがわかってきています。
成長ホルモンと筋肥大
近年の研究で解明されつつあるのは、
成長ホルモン自体に、そこまで筋肥大の効果がない
ということ。
ですので、有酸素運動→筋トレという順番で行っても問題ない可能性もある一方、成長ホルモンの分泌量の変化は、筋トレの質の指標ともなりえます。
どういうことかというと、
筋肥大する適切な刺激を筋肉に与えると、成長ホルモンの分泌量は増える
という反応が起こります。
そして成長ホルモンが多く分泌されるタイミングで、「IGF-Ⅰ」というホルモンの分泌量も増えることがわかっています。
この「IGF-Ⅰ」が筋肥大と大きく関係している可能性があるんですね。つまり、
- 成長ホルモンが分泌=筋肥大が起こる…ではなく、
- 成長ホルモンが分泌=適切な筋トレができ、「IGF-Ⅰ」が分泌されて筋肥大が起こる指標になる
という見方ができます。
1時間の有酸素運動を行った後に筋トレをすると、
完璧に成長ホルモンの分泌が抑えられる
そうです。可能性としては「IGF-Ⅰ」の分泌も制限され、筋肥大が起こりづらいことが予想できます。
ですので、いくら適切な刺激を有酸素運動後の筋トレで加えられたとしても、成長ホルモンが分泌されないということは、もしかすると、
本来適切であった筋トレの刺激であっても、帳消しになってしまう可能性がある
ということが言えそうです。
少し難しく聞こえたかもしれませんが、上記のことをベースに考えると、筋肉をつけて脂肪を落とすことを目的としているなら、
筋トレ後に有酸素運動を行う
という順番の方が、確実に効果を実感できるはず。パーソナルトレーナーの僕としてはこの順番をおすすめします。
先ほどお伝えした「IGF-Ⅰ」については、「筋肥大を促進させる筋トレのインターバル・休息時間は1~5分が目安」で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
筋トレとウォーキングの順番はどっちが先?
ただ、上記のことで補足をしておくと、「筋トレ前に有酸素運動をしてはいけない」ということではありません。
ここは混同しがちなので、整理しておきますね。
ウォーミングアップとしての有酸素運動は問題ない
筋トレ前に有酸素運動はNGとお伝えしましたが、あくまでも、
高強度 or 長時間の有酸素運動はNG
ということです。
筋トレ前に、
- ウォーキングを行う
- 軽めのランニングを行う
など、こういった有酸素運動をすることは逆にプラスです。
体温が下がっている状態では筋力が発揮しづらく、身体を温めた方がパフォーマンスが上がる。
ですので、ウォーミングアップとして活用する短時間の有酸素運動は特に問題がないので、これはぜひ行ってほしいですね。
筋トレ → ウォーキングの順番の方がおすすめ
そして、ウォーキングを行う順番ですが、これもやはり筋トレ後の方が個人的にはおすすめです。
上記で解説した通り、ウォーキングは強度が低いため、筋トレ前にしたとしてもマイナスになる効果はそこまでないはず。
ただ筋トレ後に行った方が、
- 脂肪燃焼効果が高い
- 老廃物も代謝でき、疲労回復効果がある
ということから、やはり筋トレ後の方が得られる効果は高いと言えます。
このように、筋トレとウォーキングの順番に関しても、基本的には「筋トレ → ウォーキング」と理解してもらえればOKですね。
筋トレの効果を高める有酸素性持久力
ここまでは、
- 脂肪燃焼
- 筋肥大との関係
などをメインにお伝えしましたが、次は有酸素持久力、つまりスタミナと筋トレとの関係性について解説します。
有酸素性持久力が高い方が筋トレ効果をあげやすい
高い強度の筋トレすると、心拍数も上がり息が切れますよね。休息時間を1分程度に設定し、次のセットに移るとかなりきつい。
スタミナがない方の場合、どうしても疲労が回復せず、次のセットの質が落ちてしまう。その結果筋肉を追い込めず、筋肉がつきづらくなるということが考えられます。
そういう視点で有酸素性持久力(スタミナ)を考えると、有酸素性持久力が高い方が筋トレ効果をあげやすいということも言えます。
有酸素性持久力の向上は、最大心拍数の約60%以上の強度
有酸素性持久力を向上させるためには、
最大心拍数の約60%以上の強度
でトレーニングを行うと向上します。
目安としては少しわかりづらいかもしれませんが、筋トレ後の有酸素運動時に心拍数が「120拍/分」前後になるように維持してみてください。
これは、
- ランニングマシン
- バイク
- ステップマシン
など、どんな方法でも同じ。軽く息が上がるぐらいの強度で5分以上の有酸素運動を行えば自然と持久力が向上します。
筋トレとは関係がなさそうなスタミナの問題は、実は疲労回復の面でも関係があり、スタミナをつけておくことで間接的に筋肉がつきやすくもなるんですね。
疲労回復については、以下の記事で詳しく解説しています。
筋トレと有酸素運動は関係性が深い
ここまでお伝えしたように、筋トレと有酸素運動の関係は深く、
- 実施する順番
- 有酸素運動の時間、強度
などによって筋トレ効果に変動が出ます。
筋トレ効果をあげるためには、有酸素運動をどのように行うのか。戦略的に実践できると、今よりもさらに理想の身体に近づけるはずです。
もし「有酸素運動→筋トレ」という順番で行っていた方は、「筋トレ→有酸素運動」という順番に変えるだけでも大きな変化を実感できると思います。
ぜひ上記を参考に、適切な順番に入れ替えてくださいね。
まとめ:基本的には筋トレ→有酸素運動の順番に行おう
今回は、筋トレと有酸素運動はどっちが先に行うべきかを解説しました。
今回の記事のまとめ
- 基本的には、筋トレ→有酸素運動の順に行う
- その方が脂肪燃焼ができ、かつ筋肉がつく
- 逆の場合、脂肪はある程度減らせる
- だけど、筋肉がつきづらくなる可能性がある
- 有酸素性持久力を高めると、疲労回復が早くなり、筋トレのプラスになる
こういった内容をお伝えしました。
今回の内容が少しでも参考になればうれしく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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