
筋トレ中は「呼吸を止めない方が良い」と言われ、息を吐くことが正しいと言われることもあります。
ただ逆に、筋トレ中に息を止めないとどうしても重りが上がらないこともありませんか?実際は、どっちの呼吸法が正しいのでしょうか?
実はどちらも正しい呼吸であり、最適解は「目的によって呼吸法を変える」ことです。
この記事では、
- 筋トレ時の4つの呼吸法
- 呼吸と筋肥大との関係
などについてパーソナルトレーナー歴11年の僕が解説します。
今回お伝えする呼吸法は、特に健康に関わる部分であったり、ケガの予防などにもつながる可能性があります。
ですので、高血圧の方や伸び悩みを感じている方は、ぜひ参考に呼吸法を変えてみてくださいね。では、早速解説します。
今回の記事の内容
筋トレ時の呼吸は吐く?止める?正しい4つの呼吸法を解説
先ほどもお伝えしましたが、今回お伝えする呼吸法は、
呼吸を止める or 吐くのどちらが正しいというのではなく、目的に合わせて呼吸を変えることが最も正しい
と考えています。
呼吸法の数もかなりあると思いますが、今回ご紹介するのは以下の4種類。
- 高強度のトレーニング:呼吸を止める
- 中強度以下のトレーニング:自然に呼吸する
- スロートレーニング:息を意識的に吐く
- ウエストの引き締め:強く意識を吐く
これらは一例としてご紹介しますが、ご自身が筋トレを行っている最中に応用して活用してみてください。
それぞれを詳しく解説しますね。
①高強度のトレーニング:呼吸を止める
一般的には、
筋トレ時に呼吸を止めてはいけない
みたいなことが言われますが、高強度の筋トレ時には呼吸を止めないと最大の力を発揮できません。
特にスクワットやデッドリフトなどの全身トレーニング時は、息を吐けばフォームが崩れて部分的な負担がかなり大きくなるので危険です。
例えば、以下のような高重量でのダンベルプレスを行うとします。
こういう重りを頭上に持ち上げる動作を行うとき、口から息を吐いて体幹がぶれてしまうと、
- 腰や体幹部に過度なストレスがかかる
- ダンベルの軌道が一定にならず、肩などにも大きなストレスがかかる
- その結果、腰や肩を痛める可能性がある
こういう障害につながってしまうかもしれません。
また、息を吐いて緊張を保てていないと、目的とする部位にも効かせづらくなってしまう。
ですので、こういう高重量での筋トレの場合は、
呼吸を止めることが適切
と言えます。
ただ、高血圧の方はこういった息を止めた状態で筋トレを行ってしまうと「努責(どせき)」といって、急激に血圧が上がる可能性があります。
健康面でマイナスになってしまう可能性があり、こういう方はそもそも高重量の筋トレがおすすめできない場合もあるんですね。
とはいえ、高重量で筋トレを行う場合は「息を止める」という呼吸法が一番合っています。
②中強度以下のトレーニング:自然に呼吸する
続いては、身体を引き締める目的で筋トレを行う時の呼吸法。引き締め目的であれば、扱う重量は筋肥大を目的としたときよりも軽くなります。
こういう場合は、
呼吸を意識せず、自然に呼吸をすればOK
と考えています。
先ほどダンベルプレスを例に出しているので、シェイプアップ目的で行うダンベルプレスをご覧ください。
先ほどよりも負荷が軽くなっている分、息を止めて踏ん張らなくてもダンベルを持ち上げることができていますよね。
このように、ある程度反復回数を増やすことで筋肉が引き締まって身体も細くなっていく。ですので、基本的には、
負荷が軽めで引き締め目的の場合は、自然呼吸を行う
と認識してもらえればOKです。
ただ、どうしても力みがちな方は「重りを上げるときに息を吐く」ようにしてみてください。
そうするとリラックスした状態で負荷を上げることができ、より身体は引き締まっていきます。この辺りは臨機応変に変化させてもらえればいいですね。
③ウエストを引き締める目的:口から強く息を吐く
引き締め目的で行う呼吸法のバリエーションとしてはもう1つあり、あえて口から強く息を吐きます。
例えば、人間の身体には常に空洞があり、この空洞を埋めることでウエストが細くなるんですね。
この空洞を埋める方法の1つとして、「口から強く息を吐く」ということがあります。以下のダンベルプレスをご覧ください。
身体を縦に引き伸ばすように、頭上にダンベルを持ち上げていますよね。
このときつぶれた空き缶が縦に伸ばされる要領で、ウエストも引き締まっていきます。それと同時に、口から強く息を吐く。
そうするとさらに空洞が埋まり、よりウエストは細くなる。こういうウエストの引き締め目的であれば、口から強くいくを吐くという呼吸法が適切になります。
このように、
- リラックスさせるために口から息を軽く吐く
- お腹の筋肉を働かせるために強く息を吐く
など、口から息を吐くとしても、目的によって方法を変えることで得られる効果は変わってきます。
こういった口から強く息を吐く呼吸法も、筋トレ時に取り入れてほしい方法の1つです。
④スロートレーニングの場合:意識的に息を吐く
スロートレーニングというのは、このようにスローテンポで筋肉を活動させ続けるようなトレーニング方法です。
スロートレーニングで筋肉が肥大する仕組みは以下の通り。
- 常に筋肉を緊張させた状態で活用させる
- スクワットで言えば、4秒間でしゃがみ4秒間で立ちあがる
- そうすると筋内の血流が制限され始める
- 血液の中には酸素も含まれている
- 血流量が減ることで、筋内は低酸素状態になる
- 低酸素状態になることで、筋肉が肥大する
ポイントは、「筋肉の中を低酸素状態にする」ということ。
そうすると、こういうスロートレーニングの場合は、
できるだけ口から息を吐き、体内の酸素量を低下させる
という目的で、息を吐くようにします。このとき、強く息を吐くと言うよりも、とにかく息を吐き切るぐらいの感覚でいること。
そうすれば、早く体内が低酸素状態になり、結果筋肉をつけやすくなるというわけです。
このように、目的に応じて呼吸法を変化させることで筋トレ成果も上がりますし、ケガの予防にもなるにもなるんですね。
筋トレ時の呼吸法で知っておきたいこと
上記でお伝えしたことと少し被る部分もありますが、さらに筋トレ時の呼吸法で知っておいてほしいことは、以下の通りです。
自分に合った呼吸法をすることが大前提
現場でもクライアントさんに常に伝えていることですが、
違和感を感じる方法は、無理にしなくてもいい
ということ。
例えば、口から息を吐きながらダンベルを持ち上げるとき、息を吐くとどうしても適切な動作ができなくなるとします。
こういう場合は、呼吸法を一旦忘れてOKで、動作の習得を優先してください。そうする方が筋トレ成果も上がりますし、結果としてもプラスなはず。
上記でお伝えした、
- 高強度のトレーニング:呼吸を止める
- 中強度以下のトレーニング:自然に呼吸する
- スロートレーニング:息を意識的に吐く
- ウエストの引き締め:強く意識を吐く
この4つは、あくまでも参考例であり考え方が違えば別の方法が適切な場合もあります。
ですので、どうしてもフィーリングが合わない場合は無理に呼吸せず、自分がやりやすい呼吸法で筋トレを行うのがベストですね。
呼吸法と筋肥大や身体の変化の関係
先ほどスロートレーニングなどでの呼吸法をお伝えしましたが、ここから言えることは、
目的に合った呼吸法ができると、それだけで身体も変化しやすくなる
ということが言えます。
- 息を吐いて低酸素状態=筋肉がつきやすくなる
- 息を強く吐いてお腹を刺激=ウエストダウン
もし筋トレをしているけど、思ったような成果が出ていないとき、こういった呼吸法を一度見直すだけでも体は変わる可能性があるかもしれません。
高血圧の方は筋トレ時に呼吸を止めるのはNG
先ほども少し触れていますが、大切なので改めてお伝えしますね。
- 高血圧の方
- 血圧を下げるためのお薬を服用している方
などは、筋トレ時に呼吸を止めてしまうのは絶対に避ける必要があります。
そうしないと血圧が上がりすぎて転倒してしまったり、意識を失う可能性も。おそらく投薬されている方は、意思から何かしらの指示が出ているはず。
もし筋トレ時の注意などを受けていない方は、一度医師に相談することをおすすめします。
ちなみに、筋トレと健康問題や血圧の変化については、以下の記事でも解説しているので参考にしてみてください。
筋トレの疲労回復を促す場合は鼻呼吸がおすすめ
筋トレ時の呼吸法については解説しましたが、
- セット間
- 種目間
で行う呼吸法は、できれば「鼻から息を吸って、口から吐く」という鼻呼吸がおすすめ。
というのは、鼻呼吸から酸素を取り入れたとき、鼻の粘膜から取り入れた酸素の9割ほどが細胞内に入るそうです。
それが口呼吸であれば細胞内にはあまり入らない。細胞そのものが活性化されることで、疲労回復が早まる可能性があるんですね。
ですので、
- 筋トレ時は口呼吸
- 筋トレの休息時時は鼻呼吸
という分け方をすると、より効率よく筋トレができるのでぜひ実践してみてください。
ちなみに、筋トレ時の疲労回復する方法などは以下の記事で解説しているので、こちらも合わせてどうぞ。
筋トレ時の呼吸は吐く?止める?正しい4つの呼吸法のまとめ
今回は、筋トレ時の呼吸法について解説しました。
今回の記事のまとめ
- 筋トレ時の呼吸は、目的によって変えること
- 高強度では息を止める
- 中強度以下では、自然な呼吸でもOK
- 強く息を吐けばウエストを引き締められる
- 血圧が高い方は、呼吸を止めての筋トレはNG
こういった内容をお伝えしました。
今回の内容が少しでも参考になればうれしく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!